istut   甘すぎないクールなセレクトのフィンランドヴィンテージショップ

Coffee Roaster/Finland vintage Shop

鳩車展 フィンランドと長野

8月17日(土)〜9月16日(祝)istut実店舗にて「鳩車」の展示販売会を開催します。
*販売個数に限りがあるため終了が早まる場合があります。


 

鳩車とフィンランド

フィンランドの窓辺に佇む美しいガラスのオブジェ。オイバ・トイッカのバード。
このバードシリーズを目にする度に思い出すのは、 私たちが生まれ育った故郷の郷土玩具「鳩車」のことです。どの家の戸棚にも必ず飾ってあった 「鳩車」。
その佇まいは実に愛らしく、オイバ・トイッカのバードに負けずとも劣らず。
故郷である長野と、フィンランドの風土がどこか似ていると感じている私たちが、ずっとやりたかったこと。
それが、この「鳩車」の存在をひとりでも多くの方に知っていただくことでした。
フィンランドにとってのバードのように、長野にとっての「鳩車」とはどういうモノなのか。実際に手に取って見ていただける機会をいつか作りたいと願い続け、ようやくこの展示の開催に至りました。


北欧ヴィンテージ食器・雑貨のwebショップ「InVivo」さんの協力を得て、オイバ・トイッカの代表作のひとつであるFauna(ファウナ)シリーズの展示販売もあわせて行います。
「鳩車」とオイバ・トイッカの共演をお楽しみに!

 

鳩車のルーツ

鳩車は、長野県野沢温泉地方で生まれた伝統郷土玩具です。
材料は、温泉付近に野生するアケビの蔓(つる)を温泉の流れで晒して加工します。 豪雪地帯でもある野沢温泉村では、もともと冬場に蔓細工のカゴなどを作っていたこともあり、郷土の特性が充分に生かされた玩具といえます。
この素朴で愛らしい玩具が、隆盛を極めることになったきっかけは、昭和36年までさかのぼります。当時、長野市で開かれた産業文化博覧会に、河野平作が鳩車のプロトタイプを出品しました。それが博覧会を訪れた皇太子妃(現在の上皇后)の目にとまり、鳩車が献上されました。そして、皇太子妃が鳩車で遊ぶ様子がテレビで放送されるや、爆発的に全国区の人気者となり、往年時は全国郷土玩具番付表の東の横綱までのぼりつめたこともあります。

鳩車の今

地元で長年、土産店を営んでいる黄金屋物産店の富井さんにお話を聞きました。
村に残る数少ない生産者のひとり、吉越ます子さんは鳩車を作り続けて50年以上。すでに90歳を過ぎているそうです。最盛期には何人も人を雇って多くの鳩車を作ってきましたが、現在では村内で鳩車を作ることができるる職人さんは、ます子さんを含め3人に減ってしまい、1日に作ることができる鳩車は非常に少なくなってしまいました。
作業は3人の分業制で、車輪部分を作る人、胴体を作る人、そして最後の仕上げをする人に分かれます。仕上げの工程は、羽を作り、顔の部分に穴を開け、目とくちばしを入れます。当初、目は黒く塗っていましたが色落ちするため、炭で染めた棒を差す方法に変更されました。また、山から取ってきた「だんごの木」と呼ばれる枝の二股に分かれている部分を利用し、くちばしと鼻の部分を表現しています。もともと鳩車は、アケビの蔓を使って作られていましたが、現在は仕入れ価格の高騰により、「籐」の蔓を使っています。
もはや鳩車を作る人はわずか3人となり、後継者もいないのが現状ですが、「自分が元気でいるうちは少しでも作り続けたい」と、ます子さんは語っているそうです。(富井さん談)

展示にあたって

後継者もなく、途絶えてしまうかもしれない長野県の伝統郷土玩具「鳩車」。
手仕事としての工程の素晴らしさと、熟練の技を持つ職人にしか作ることができできないという事実を知るにつれ、こんなに素晴らしいモノが、このまま消えてしまっていいのだろうか、何かできることはないのだろうか、と強い寂しさと焦りのようなものを感じるようになりました。
そして、この素晴らしい工芸品である「鳩車」と「フィンランド」を、私たちの力で繋げることができたらいいな、と思うようになりました。
 
私たちは、フィンランドのヴィンテージ品の買付けや販売を行って8年目になります。どうしてここまでフィンランドのデザインやプロダクトに惹かれるのだろうかと自問をすると、その根底には、自分たちが生まれ育ったルーツが大きく影響していることに気づかされます。
フィンランドでは、木の皮や蔓を細工して作る道具や日用品がたくさんあります。また、鳥をモチーフにしたデザインや作品が多く存在しています。白樺やベリーやキノコなど、長野の風土や文化と共通する点がたくさんあります。
いつか長野とフィンランドを繋ぐ展示がしたい。そう思い始めた時、その展示の内容には、子供の頃から親しんできた「鳩車」の存在以外には思いつきませんでした。
この度、これらの想いがようやく形となり、数は限られてはいますが、村から鳩車を卸していただけることになりました。
この素朴で愛らしい玩具の手仕事が途絶えてしまう前に、この展示でひとりでも多くの人の元へ届いたら幸いに思います。

   
 
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